今日は台風が来ている。

会社に行くのもおっくうなので
家でマンガを読んでしまった。

1階で読んでいると、
「ちりーん」鈴のような音が聞こえた。
またマンガに目を戻して
しばらくすると
「ちりりーん」やっぱり鈴の音がする。

音は、玄関のほうから聞こえてきた。

なんだろうと思って、
玄関を開けてみると
「にゃーん」濃い縞模様の猫がいた。
外は雨。台風の、激しい雨。
「にゃーん」猫が動くと
「ちりーん」首輪についた鈴の音がした。

どうやら、玄関先で雨宿りをしているらしい。
ちょっとびっくりしたようで、
手を差し出すとその場で動かずに
「にゃーん」と鳴いた。
入れてやることもできないので、
しかたなくドアを閉めた。

マンガの世界に戻っていると
「ちりーん」
まだ音がする。
気になって仕方がない。
ドアを開けると、まだその猫がいた。
「にゃーん」
手を差し出すと、よってきた。
頭をなでた。指先がぬれる。
猫は、頭を寄せてちょっとよってきた。
かわいらしいけれど、入れてやることはできない。
首輪があるのだから、帰る家もあるはずだ。
(でもなぜ、台風の夜に外にいるんだろう)
ドアを閉めようとすると、猫はおとなしく
身を引いた。

ぬれた指先に猫の毛がたくさんついていた。