正義の最小単位

やなせたかし氏は中国戦線に赴き、「正義」のもろさを知ったという。
国の都合による「正義」は簡単にひっくり返る。
身をもって知ったやなせたかし氏は、普遍的「正義」とはなにかを考えた。
「困っている人を助ける」
しかし「困っている」は解釈によって変わる。戦地へ送られた理由がそうだった。
では具体的にはなにか。
戦争を体験し、一番つらかったことに思い至った。それは「飢え」。


「飢えている人に食べ物を施す」


国も、人種も、すべてを超越して誰もが納得する普遍的な「正義」。
――すなわちアンパンマンは正義の最小単位なのである。